総合職の先輩のキャリア

リテール営業本部
2010年入社

見上 祐美

社会人として常に「信頼される人間でありたい」と思いながら行動してきたと見上は言う。その誠実な人柄から、勤務場所や所属部署は変化しつつも、多くの利害関係者と意見を調整する仕事を任され成長してきている。

EPISODE 01 営業企画部で5年半過ごし 仕事への向き合い方を学ぶ

2010年に入社した見上は、最初の5年間を本社・営業企画部で過ごした。入社前から始まっていた営業系社員の給与制度改定プロジェクトが本格化していた時期で、見上はこの仕事に取り組むことになる。

白熱する真剣な議論に
身の引き締まる思い

現在、かんぽ生命に新卒入社した総合職社員は、原則としてフロントラインと呼ばれる支店に配属されるが、見上が入社した年は半数がフロントライン、半数が本社に配属されていた。本社・営業企画部に配属された見上は、すでに進行していた営業系社員の給与制度の抜本的な見直しをするプロジェクトにかかわることになった。社員の待遇にかかわることだけに、労働組合との交渉が不可欠である。

「労働組合との話し合いは、ほぼ毎週のように開かれていました。私は営業部門の一員として交渉に参加、会社側からはほかに人事部の方も参加していて計5、6人、労働組合からも同じくらいの人が参加して議論を交わします。会社側は『頑張った人が報われる制度』に変えたいという提案をしていて、労働組合側は『社員に不利益にならないように』という観点から会社側の提案を検証していました。意見がぶつかる時もあり、お互いに落としどころを探るような交渉が続きました」。

交渉での発言は上司が行い、経験の浅い見上は記録を取る程度だったが、社員の給与は会社側も働く側も重大な事柄として、時間をかけて議論を尽くすものなのだということを目の当たりにした。

「白熱する真剣な議論の場は、かなり印象的な光景でした。自分たちの仕事の影響の大きさを感じて、身の引き締まる思いがしたものです」。

「業務を1人で抱え込まないこと」。
上司に諭され考え方を改めた

給与制度の改定プロジェクトについては、もう1つ、見上にとって思い出深いことがある。入社2年目の時、見上は改定された給与制度に基づいて手当を支払うためのシステム構築にかかわることになった。見上の役割は、システム部門からの求めに応じて、要件定義を行うことだった。

「業務フローに合わせて、どのようなことを要件とすれば良いのか考えなければなりません。ただ、入社2年目でまだ業務フロー自体分からないことも多い状態。多忙な先輩や上司に細かな質問をするのも気が引けて、なるべく自分1人で処理しようと思っているうちに、システム部門からは次から次に質問が寄せられて、自分1人では処理しきれなくなってしまったのです」。

思い余って上司に相談したところ、「業務は1人で抱え込まないで、みんなでやっていこう」と諭された。この出来事以来、見上は仕事の進め方について考え方を改めた。

「まず、このタスクはいつまでに実行しなければならないのか、優先順位を考えて取り組むようになりました。また、仕事は自分1人で進めているわけではなく、組織の一員として進めているのだ、という意識を持つようになったのも変化したところです。組織として成果を求められているので、自分で処理できることは自分で取り組む意識を持ちつつも、必要なら先輩や上司に相談することをためらわないというメリハリを持つようになりました」。

EPISODE 02 初めての地方勤務。 初めてのモノづくり

2016年4月、見上は近畿エリア本部に異動した。ここで1年半過ごし、2017年10月に本社・商品開発部に異動となった。それぞれの部署で見上は、最初の5年間とは異なる経験を積むことになる。

郵便局への来局者に向けて
かんぽ生命をPRしよう!

入社以来、神奈川県の実家から通っていた見上だが、1人暮らしを始めてまもなく、近畿エリア本部への異動を命じられた。神奈川での暮らししか経験がない見上は、関西の文化に馴染めるか、不安を持っていた。だが、赴任してみて感じたのは「職場の皆さんが優しい人ばかりで安心」ということ。かんぽ生命の社風は、関東も関西も変わりはなく、文化の心配も取り越し苦労だった。見上が所属した部署は、営業成績や事務品質の向上を目指す部署で、見上はエリア内の支店の営業成績を向上させるための施策を企画するチームの一員となり、大津支店(滋賀県)と東大阪支店(大阪府)を担当した。

「部署として決まったある施策の実行を担ったことが、当時の思い出深い出来事です。その施策とは、郵便局に来局されたお客さまに対して、かんぽ生命の存在をPRする方法の1つとして、ポスト型の貯金箱とかんぽ生命のキャラクターである『かんぽくん』のコラボレーション。実は、この方針を上司から聞いた時、『調整に走り回ることになりそうだ』という悪い予感(笑)がしました」。

『かんぽくん』はカンガルーを模した男の子という設定のキャラクターだが、こうしたキャラクターを使う際には、会社としてのイメージを守るために、勝手な加工は許されておらず、細かな規則があることを見上は知っていた。

「コラボレーションと言っても、既存のポスト型貯金箱に、『かんぽくん』のシールを貼るというシンプルなものでしたが、そもそもポスト型の貯金箱は日本郵便の開発したグッズで、そこにかんぽ生命をPRするシールを貼ること自体、会社をまたいだ調整が必要です。加えて、キャラクターの使い方として許されるのか。様々な関連部署との調整に汗を流しましたが、なんとか実現にこぎ着けることができました」。

手がけたパンフレットを
店頭で確認し大感激!

2017年10月、見上は本社・商品開発部に異動となった。かんぽ生命の場合、その圧倒的な影響力の強さから、保険商品の新開発について、慎重な配慮が必要になる。

そんな中で見上は、新商品である引受基準緩和型商品のパンフレット制作を担当することになった。生命保険は持病のある人の引受けができない商品が多い。だが、持病があっても生命保険に加入したいという強いニーズはある。この新商品は、そんなニーズに応えたものだった。

「商品開発担当者は、許認可権を持つ監督官庁と粘り強く交渉する傍ら、私にも新商品にかける熱い想いを語ってくれました。少しでもお客さまの役に立ちたい。その開発担当者の想いをどうやってパンフレットに落とし込み、分かりやすく訴求するか。私にとっても大きな挑戦でした」。

入社以来、営業施策の制度づくりを企画したり、社内調整に注力したりすることが多かった見上にとって、新商品パンフレットの制作は、初めて目に見えるモノづくりとなった。

「パンフレットが完成した時は、とにかく嬉しくて。平日に休みがあった時、自宅近くの郵便局に客を装って出向き、自分の制作したパンフレットが店頭に置かれている様子を確認、大感激しました。思わず親にまで伝えました」。

EPISODE 03 新しい営業人事制度確立のため 一体感を持って取り組む

再び本社に戻った見上は、会社としてのガバナンス強化のため、営業系社員(コンサルタント)の所属や給与にかかわる人事制度を改定するプロジェクトに取り組む。管理職も拝命し、存分に腕を奮うことになった。

信頼関係を築きながら
合意を目指していく

見上は再び本社配属になったのち、2021年2月、再編準備室で働くこととなる。ここで見上を待っていたのは、郵便局のコンサルタントをかんぽ生命の社員として受け入れるためのプロジェクトだった。

「従来、コンサルタントの皆さんは日本郵便に所属していて、かんぽ生命から見ると、代理店の社員という立場でした。コンサルタントの皆さんには、かんぽ生命に出向してもらうことになり、そのための人事制度を確立することが、私たちのミッションとなったのです」。

出向に当たっては、コンサルタントが納得するような給与や勤務時間などの仕組みをどう作るかがポイント。見上はPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)の立場で、関係する各部署と調整する仕事をすることになった。見上が工夫したのは、きめ細かな情報共有だった。

「様々な意見が飛び交い、情勢が刻一刻と変わるような展開だったので、関係する皆さんに一体感を持っていただきたいと考え、ミーティングの頻度を高めました。入社以来、多くの関係者と調整を重ねる仕事を経験してきて、信頼関係を築きながら合意を目指していくことを学んできたので、その経験がPMOとしての活動に生きたと思います」。

フロントラインの目線を養い
より高いレベルの仕事をしたい

2021年6月から、見上はリテール営業本部でコンサルタントの人事制度に携わっている。

2022年4月に、見上は専門役と呼ばれる管理職に昇進し、3人のメンバーを率いることになった。

「まだまだ管理職として一人前とは言えないですが、メンバーの社歴や能力に合わせて、業務内容や量を調整して仕事を割り振り、チームとして業務を遂行していかなければならないという思いでいます。また、人材育成の観点で、他部署とのかかわり方も含めて、チームメンバーそれぞれが、自分自身の考えで業務を遂行できるようにするためのきっかけづくりなども意識して取り組んでいきたいと考えています」。

見上は入社以来、「信頼される人間になりたい」と考え仕事に打ち込んできた。その想いは今後も変わらないという。そのうえで、自らの将来的なキャリアについて見上はこう語る。

「自分のキャリアを振り返ると、フロントラインでの経験が不足していると感じています。それを補う意味でも、業務運営や窓口営業の支援などを行う、リテールサービス統括部や郵便局支援部などを経験してみたい。フロントラインの目線を養うことで、より高いレベルの仕事をしていきたいと考えています」。

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