総合職の先輩のキャリア
DX戦略部
2017年入社
鈴木 慎一朗
ITを専門とする総合職として入社した鈴木は、様々な部署でプロジェクトを経験、専門職としての知見を高めるとともに、日本郵政グループの事業への理解を深めている。近年はDX戦略部の一員として活躍中だ。
EPISODE 01 ITで何を成すべきか 郵便局の実務研修で得た気づき
郵便局での実務を経験したことで、鈴木はITにできること、ITで成すべきことについて、気づきを得た。また、本社に異動して最初に作成した稟議書では、説明相手の部長から厳しい指摘を受け、その後のキャリアに通ずる教訓を得た。
接客の極意を示す上司のアドバイスが心に響く
鈴木は大学院で数理最適化について研究していたこともあり、総合職でありながらITの専門職としてのキャリアを積むことのできる日本郵政に魅力を感じて入社した。1年目は郵便局実務研修として日本郵便株式会社に出向、長崎県佐世保市の郵便局に配属され、郵便配達や窓口でのサービスに取り組んだ。
「私は千葉県出身で、それまで九州に足を踏み入れたことさえなく、縁もゆかりもない土地で暮らすこと自体、新鮮な体験でした。また、学生時代も接客系のアルバイトをしたことがなかったので、お客さまと直接向き合う体験も、その後のキャリアを考えるうえで重要だったと思います」。
当時の上司から「手続きは素早くすませて、お客さまの対応に時間を割くように」と接客の極意を示すアドバイスをもらったことが印象に残っている。その一方で、来店されたお客さまが諸手続きのため、何度も住所や名前を紙に記入したり、お客さまが記入した紙を大量に保管しなければならなかったりすることに課題を感じた。
「ITの活用で、お客さまの手間や郵便局で働く人の負担を減らすことができるはずだ、という問題意識をリアルに感じました。また、郵便局では切手や小切手などの金融商品も扱うので、絶対にミスがあってはいけません。その部分でもITの力でサポートできるのではないかと思いました」。
同じ案件でも立場によって注目するポイントは異なる
入社2年目の2018年4月、鈴木は日本郵政インフォメーションテクノロジー株式会社に出向した。日本郵政グループのICT機能を担う情報システムサービス会社である。業務システムの保守・アップデートに関するプロジェクトにおいて、システム障害の対応、経営層や顧客であるグループ会社への報告資料作成、プロジェクトの進捗管理、予算管理、調達にかかわる諸手続きなどに取り組んだ。
そんな中で強烈な思い出となっているのは、配属されて1カ月ほどたったある日の出来事である。その日、鈴木は入社以来初めて稟議書を起案し、関係部署の部長に説明して回って決裁をいただくことになっていた。現在は電子稟議書になっているが、この当時は紙で行われた。ある部長の前で鈴木が説明したところ、「君の話の意味が分からない」と言われ、改めて調べて追加情報を加え、出直すことになった。だが、次の時も同じ指摘を受け、3度目の説明の時、とうとう「上司を呼んでくるように」と言われてしまったのである。
「上司はスラスラと説明し、部長はあっさりOKを出していました。非常にショッキングな出来事だったのですが、何が間違っていたのか考え抜いた結果、同じ案件でも立場によって、注目するポイントが異なるということに気づいたのです。相手の立場に立って物事を考えるという当たり前のことが、当時の自分にはできておらず、私の説明は部長の知りたいポイントからずれていました。これ以降、あらゆる場面で、相手の立場に立ってコミュニケーションを図ることを心がけるようになりました」。
EPISODE 02 毎日がピンチの連続だったが 若手だけで成し遂げた充実した時間
会議室案内ロボットの概念実証に取り組んだ後に待っていたのは、新会社である株式会社JPデジタルのIT環境の整備だった。スピード感を求められ、毎日がピンチの連続だったが、若手だけで成し遂げた楽しい時間だった。
ワクワクする未来感とモノづくりの持つ楽しさを味わう
入社5年目を迎えた2021年4月、鈴木は日本郵政株式会社のグループIT統括部に異動した。最初に担当した仕事は、会議室案内ロボットのPoC(概念実証)計画だった。会議室が30弱あるオフィスビルに導入するという仮定のもと、来客を先導して会議室へと案内するロボットを制作し、ドリンクデリバリーの代行機能も持たせようという遊び心と実用性の詰まったプロジェクトである。
「私は学部時代、電気電子工学科に所属していて、モノづくりにも興味がありました。就職活動ではインフラ系を主としながらも、メーカーも視野に入れていたくらいです。ITの仕事はデジタルの世界だけで閉じていることが多いのですが、このロボットは接客に使うものなので、人間との触れ合いもあります。効率的に動かすロジックを組む一方、コミュニケーションツールとしての側面もあるわけです。日本郵政グループはデジタルとリアルを融合させたサービスを構築しようとしていますが、そうした観点から見ても面白い取り組みだなと感じました」。
自身でロボットを制作したわけではないが、グループ会社の事業部やシステム所管部、協力会社など幅広い関係者と調整を図りながら、調達仕様書の作成に取り組んだ。
「ワクワクするような未来感を味わいながら取り組むことができて、とても楽しい時間でした」。
失敗を恐れず、果敢に挑戦し、新会社のIT環境を整備
2021年7月、鈴木は誕生したばかりの新会社、株式会社JPデジタルDX部門に出向することになった。同社は「リアルの郵便局ネットワークとデジタル(デジタル郵便局)との融合」に向けて、日本郵政グループのDX施策の推進と人材育成を図ることを大きな目的として設立された。正式な会社発足は7月だったが、鈴木はその1か月前の6月から、既に会社設立の準備に取りかかっていた。
「上司から与えられたミッションは、営業開始となる8月初旬に向けて、パソコンでストレスなく作業ができる会社としての基本的なIT環境を整備することでした。IT環境の設計、運用保守、ライセンスや端末などの調達、協力会社との契約などにチームとして取り組みましたが、私がとくに注力したのは、SaaSのポリシー設計・構築です」。
SaaSとはインターネット経由で外部のソフトウェアを使用できるサービスのこと。鈴木はSaaSに詳しいわけではなく、いちから勉強しなければならなかった。
「正直、間に合うのだろうかと不安でしたが、上司も“失敗を恐れず、果敢に挑戦しよう”という考えだったので、とにかくやってみようと。必要な知識を書籍、ネット、動画などで勉強したり、SaaS製品の試用版を使ったりしながらインプットに励み、同時進行でアウトプットもこなす濃密な日々。毎日ピンチの連続でしたが、若手3人のチームだったので、積極的に意見を出し合いながら進めることができ、入社以来、最も充実した時間を過ごしました」。
EPISODE 03 最新のITの知見と コミュニケーション能力が必要
未来の郵便局を目指し、鈴木はリアルとデジタルの融合に取り組む日々を過ごしている。そこで求められるのは、最新のITの知見と各部署の業務理解に基づく高いコミュニケーション能力だった。
日本郵便のお客さま向け
スマホアプリの開発に取り組む
2022年6月から、鈴木は日本郵便デジタルビジネス部に出向となり、日本郵政のDX戦略部、JPデジタルのDX部門と3部署を兼務することになった。鈴木が担当しているプロジェクトは、スマートフォンアプリ開発の要件定義と設計の推進である。開発のレビューはもちろん、クロスファンクショナルチームの会議におけるファシリテーションも担うことになった。
「今取り組んでいるのは、日本郵便のサービスをスマートフォンのアプリで便利に使えるようにすること。例えば、はがき、手紙、その他の物品など何かモノを送る際に、日本郵便のどんなサービスを利用すると良いのか、お客さまに分かりやすく示す仕組みを構築したいと考えています」。
鈴木が3社の3部署を兼務するのは、日本郵政、日本郵便、JPデジタルの3社それぞれの考えの調整を期待されているからだ。日本郵政グループ全体が目指すDXの方向性との整合性、郵便事業を規定する法律や郵便局での実務との関係、ITとしての実現性など、調整すべき事柄は多い。
「スピード感を持って進めたいので、まだ調整がついていない段階で各部署に相談にいくことが多く、説明能力が問われます。相手が何を求めているのかを察知する、まさに入社2年目の稟議の際に経験した出来事で得た教訓を活かす日々です」。
DXを推進することが
ぬくもりのあるサービスにつながる
鈴木が目指す日本郵政グループの未来は、入社1年目に配属された郵便局での体験に根ざしている。
「当時の上司から言われた“手続きは素早くすませて”の部分は、DXを推進することで達成できるはずです。それによって、郵便局の窓口で働く方は、お客さまへのサービスに時間を割くことができる。窓口で働いた経験からいえるのは、お客さまにぬくもりのある上質なサービスを提供するためには、働く側に余白の時間をつくることが大切だということ。業務に追われている状況では、ミスも発生します。また、何気ない雑談があることで、お客さまが真に求めていることを把握できることもあると思っています」。
鈴木はITの専門職として日々の仕事に携わり、キャリアを積み重ねてきた。そこは入社前のイメージ通りだったが、1つだけイメージと少し違ったと感じたのは、コミュニケーション能力が求められる場面が多いことだった。
「ITの専門職だからこそ、ITに詳しくない人に説明し、理解していただく作業が求められるのです。とくに日本郵政グループは多彩な業務を展開していて組織も大きいので、意見を調整する必要があります。最新のITの知見に基づき、あるべき未来を展望すると同時に、日本郵政グループの業務やそこで働く人たちの考え方も深く知り、コミュニケーション能力を磨いていきたいと考えています」。
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