ゆうちょ銀行2011年入社
高木 直哉Naoya Takagi
地域金融法人部
中学から高校の6年間は部活動のバレーボールに熱中していました。いわゆる強豪校ではありませんでしたが、厳しい監督の下で土日関係なく練習に励んだ記憶があります。バレーボールは攻守が目まぐるしく変わるスポーツで、一連のプレーが個人で完結せず、チームの中でどのように動けば結果が出るかを常に考えるという点においては、今の仕事に似ているかもしれません。
大学時代は経済学部で「ゲーム理論(社会における複数主体が関わる意思決定の問題や行動の相互依存的状況を数学的なモデルを用いて研究する学問)」を専攻していました。そのほか、接客業のアルバイトをしながら複数のサークルにも所属していました。当時の一般的な学生のライフスタイルだったと思います。
平日の業務終了後は、できるだけその日の出来事を振り返るようにしています。失敗したことは何をどうすれば良かったか、うまくいったことは何がその要因だったのかを自分なりに整理しておくと、次に似た状況になった時に生かせると思っています。企画業務をするうえでは、柔軟な発想と幅広い情報が欠かせません。そこで、金融以外の業界で働く知人と会う機会を作るよう心がけています。コロナ禍の今は、対面ではなく電話で話す機会を設けています。イメージとしては、オフ時間にインプットし、業務時間にアウトプットするといった感じでしょうか。土日は仕事をすべて忘れ、子供と関わる時間を多く取るようにしています。子育てをしていると、日常的な物事も今までとは違った視点で考えるようになるので、新しい発見も多いように思います。
強く印象に残っているのは、独立系PEファンドGP(中小企業支援を行う事業会社)に出向していた際のエピソードです。私が担当したのは、社長が交代する「事業承継」が行われた直後の地域中堅企業でした。一般に事業承継直後は一時的に経営が不安定になりますが、これまでの経営を振り返り改善することができれば、さらなる成長を期待することができるフェーズと言われています。
同社には約3か月間常駐したのですが、最初に行ったのは各セクションキーマンとの対話による課題の洗い出しと、それに基づく課題解決に向けたロードマップの作成でした。対話を重ねる中で同社事業の細部を理解し、共通言語として業界の専門知識を習得する必要があったのですが、それ以上に難しかったのは私自身を信頼してもらうこと、そして本音で語ってもらうことでした。思うように本音を引き出せず、それまで「ゆうちょ銀行」というブランドに助けられてきたこと、信頼関係は一朝一夕で築けるものではないことを実感した出来事でした。それからは「何とかこの会社の役に立ちたい、もっと良くできるはず!」という思いだけで必死だった気がします。そんな熱意を感じて下さったのか、多くの方に助力いただくことができました。この体験を通じ、私は仕事の根幹を「人と人」のつながりだと捉えています。現在働くうえで大切にしている経験であり、教訓です。
これまでの10年間を振り返ると、仕事の達成感や自己の成長は大きな苦戦の後に訪れることが多かったように思います。私自身、苦しい時に仕事を投げ出して逃げたくなることも少なからずありました。それでも職場の仲間に助けられながら、時に同期に愚痴をこぼしながら進むことができたと思います。話が逸れてしまいましたが、「困った時に周囲の仲間に相談ができること」、「そのアドバイスを素直に受け入れられること」は、当たり前のようで重要な素養だと思っています。
地域金融法人部は、地域金融機関さま(以下、「地銀」)とのリレーション構築・各種協働を通じて、当行の中期経営計画の重点戦略である「多様な枠組みによる地域への資金循環と地域リレーション機能の強化」を推進する部署です。具体的には、①地銀が設立する地域活性化ファンドへの出資、②地銀が組成するシンジケートローン*1(プロジェクトファイナンス*2)への参加、③当行ATMネットワークの共同利用提案などを行っております。
このように、当行がお客さまからお預かりした大切な資金を地域に循環させるため、地域経済を支える地銀と協働した施策に取り組んでいます。そのほかにも、「地方創生・地域活性化」に資する施策の企画検討なども行っており、幅広く活動しています。
*1 複数の金融機関で融資団(シンジケート団)を結成し、同一の条件で行う融資のこと。
*2 特定の事業(プロジェクト)に対して融資を行い、そこから生み出されるキャッシュフローを返済の原資として行われる資金調達手法。
私が所属する戦略企画担当は、前述の当部取り組み全般に関与する企画・検討を行っております。代表的な業務は、ソリューションメニューの企画・検討です。当部署には地銀との折衝を専担とする連携・推進担当があります。連携・推進担当が地銀との対話の中でお伺いした課題などに対し、日本郵政グループでご支援できるソリューションメニューを、私たち戦略企画担当が考えます。既に定型化されたソリューションメニューも多数ありますが、連携・推進担当と協力し、相手先に応じた個別調整や、新規メニューの開発などを行っています。
このほかに、過去には地域活性化ファンドへの出資検討という業務にも携わりました。ここでは、数多くある地域活性化ファンドの中で、お客さまからお預かりした大切な資産が適切に運用されるか、地域企業の成長、さらには地域活性化につながるか、といった観点で出資可否を検討しました。また、プロジェクトファイナンスへの参加検討も担当しました。プロジェクトファイナンスは通常の企業融資と比べると関係者が多く、関連する契約書も多岐にわたります。それらを理解し、プロジェクトが適切に運営されるかといった観点で参加検討を行いました。
当行の魅力の1つは、リアルチャネルを中心とした巨大な郵便局ネットワークです。これを活用することで、ほぼすべての国民の皆さまと接点がある(持てる)と言っても過言ではありません。同ネットワークと信頼を礎に「社会と地域の発展」と「お客さまの生活」に役立てていくことが日本郵政グループの最大のミッションであると考えています。その実現には、社会・環境の変化やお客さまの多様なニーズに応えていく「変革」のマインドが不可欠です。当行には、広く若手から活躍できる土壌があり、もちろん、各種福利厚生制度も充実していますので、プライベートも充実させつつ、「変革」にチャレンジできる環境があることも当行の魅力の1つだと考えています。
現在、私自身地域活性化に関わる仕事をしていますが、将来的には地域の中小企業に密着し、顔の見える距離で仕事をしたいと考えています。
インターネットなどとインフラが普及し、web会議が当たり前となった昨今ですが、ビジネスシーンにおける対面の重要性は変わっていないと考えています。ですから、重要な案件や相手の本音が聞きたい時ほど「膝詰めでの対話」を心がけています。画面越しでは分かりづらい機微に触れ、相手の考えや思いを深く理解することがより良い仕事(アウトプット)につながると考えています。
また、大きな仕事の多くは個人で完結させることが難しくなりますので、役職に関わらず協力してくれるビジネスパートナー(仲間)を大切にするよう心がけています。